前回に続き[工房でジュエリーを作るって] part 2です。by kenji
工房でジュエリーを作る方法はいろいろありますが、今回は私の一番おすすめのオーダー方法をお伝えします。それは3DCAD(3Dキャド)を用いたオーダーメイドの一点ものの制作です。一から作り上げるのでとことんこだわりましょう。
なお、これは犬モチーフジュエリーではなく、ブライダルや記念日のためのものを含む普通のジュエリーのオーダー方法のお話です。犬モチーフのフルオーダーについては改めてお話しますね。
STEP 1 最初の打ち合わせ
まずはデザインを決めましょう。お客様が「こんな感じのものが良いなぁ」と思うものがあれば、雑誌の切り抜きや画像などをお見せください。
もし具体的なイメージが決まってなくても工房にたくさんある原型枠をご覧いただいたり、ご希望をうかがいながら、お客様にあったデザインをご提案させていただければと思っています。そして一緒に新しいデザインを作っていきましょう。
本格的なデザインは後日、CADで作りこみ、お見せしますので最初の打ち合わせではお客様と私たちが大まかなイメージを共有できればいいと思います。
次に素材と宝石を決めますが、これは後でも変更自由なので大体のご希望をお聞かせください。地金の素材は基本、K18イエローゴールド・ピンクゴールド・ホワイトゴールド、プラチナからお選びいただくのをおすすめしていますが、10Kやシルバーなどもご相談ください。
宝石はダイヤモンド・サファイヤ・ルビー・半貴石などお好きなものを選びましょう。宝石の特性や価格についても詳しくご説明します。ご予算もある程度お伝えいただくとその予算内で納まるように進めていきたいと思います。
ここまでが最初の打ち合わせになります。この時点で大まかな、[デザイン・地金・宝石・予算]が共有できました。
STAP 2 本格的なデザイン作成
ジュエリーCADを使ってデザインを作りこみます。おおよそ1~2週間かかります。
さて、ジュエリーCADとは?
頭に浮かんだデザインをCADソフトを使い、パソコンで立体に描き起こします。完成したCADデーター通りに、造形機で、ハイレベルに形にすることが出来ます。
ジュエリーメイキングにおいて最新技法であるジュエリーCAD。海外ブランドを始め、国内トップブランドでもその重要性、需要度は増す一方ですが、日本では欧米に比べ普及が遅れています。
その原因はCAD技術を取得している経験豊富な原型職人が少ないからだと思います。残念ながら、日本の現状は職人の経験のないCADオペレーターが多いようです。手作業では出来ない、細かく正確な作業が可能なCADと熟練の原型職人の経験と技術が合わされてこそハイジュエリーの制作が実現します。
私はCADの必要性を感じ、CADスクールに2年通い、モデリング技術を取得しました。現在、入倉宝飾では業者からのCAD制作の依頼が増えると共に、CADを駆使したジュエリーの素晴らしさを実感し、今ではなくてはならない一押しのスキルとなりました。
今回皆様に提案しているオーダーメイドもジュエリーCADがあってこそ実現しています。それはCADで作られた立体画像でデザインを確認していただくことが出来るからです。やはりどれだけデザインの打ち合わせをしたとしても実際にどのようなジュエリーが出来るか完成まで分からないのは不安ですからね。
立体画像はいろいろな角度からの視点で見られますのでイメージがはっきりすると思います。CAD画像をご覧になり、もう一度デザインを作り上げましょう。
CAD画像と完成したリングの写真をご覧ください。このようなCAD画像でのデザインの確認が出来ます。
PT900 イエローダイヤモンドリング
「もっとこうして欲しい」いろいろなお話を繰り返しながら世界でひとつのジュエリーデザインを完成させましょう。メールやお電話での打ち合わせも可能です。最終デザインが完成し、地金と宝石が決定したところで改めてお見積もりをお出しします。この時点で制作するかどうか決めていただければと思います。
工房には、お店やデパートのようにジュエリーがたくさん展示しているわけではありません。
おしゃれな雰囲気とは・・・いえません。
でもそれだからこそのメリットがあります♪
さて次回part3では、「やっぱり気になる価格のお話」です。